Ri.Night Ⅳ
「……熱い」
「顔真っ赤だな」
「……っ、これは……」
「何だよ?」
この顔、絶対分かってて言ってる。
悔しいぃ~!
意地悪く口元を緩める十夜に顔の熱は急上昇。
「ククッ……」
それを見て十夜は更に顔を綻ばせる。
その表情は憎たらしく思える程愉しそうで。
「離すからそんなに怒んなよ」
当然あたしは膨れっ面になった。
「──ホラ」
あたしから身体を離した十夜はトスンと隣に腰を掛けると、「……ん」と言ってあたしに手を差し出す。
「………」
今まで何度も手を差し出されて慣れている筈なのに、今日は妙に気恥ずかしい。
まぁ、理由は何となく分かってるんだけど。
「嫌ならいいけど」
「い、嫌じゃ……!」
いつまで経っても手を取ろうとしないあたしに溜め息を吐きつつ手を引っ込めようとする十夜。
逃すもんかと慌ててその手を掴みにいくと、
「最初から素直になっとけよ」
まるであたしが掴みにいくのを分かっていたかのように十夜はニヤリと笑みを浮かべた。
「ど、どうせ……」
素直じゃないですよーだ。
「……ま、そんなとこもいいんだけど」
「えっ!?」
今、なんて言った!?
勢いよく顔を上げると十夜はそっぽを向いていて。
「十夜!今なんて言ったの!?もう一回言って!」
そう聞きながら覗き込むと更にそっぽを向かれた。