Ri.Night Ⅳ
68.強さの秘密
────…
「いいか?手加減は無しだからな?」
「いいけど後で文句言わないでね?」
「言わねぇよ!俺だってあれから強くなったんだからな!な?透」
「よく言うよ。リンに鉄パイプ振り下ろされてビビッたくせに」
「オイッ透!余計な事言うんじゃねぇ!」
ちょっと、いつになったら始められんの。
あたしを無視して小競り合いをし始めた慎と透。
はぁ……。落ち着くまで待つしかないか。
掴み合いを始めた二人から視線を逸らし、周りを見回す。
壁に沿うように横並びになっている獅鷹の人達は、殆んどの人が昔から知っている人達ばかりで、目が合うと嬉しそうに笑って手を振ってくれる。
そんな中、今年入った人達はこれから始まる“遊び”に興味津々のようだ。
そりゃそうだよね。
よく知らない人間が次期幹部候補と言われている慎と透と“手合わせ”しようとしているのだから。
何故こんな事になっているのかというと、それは遡ること数時間前。
あたしは獅鷹幹部と鳳皇幹部の皆で獅鷹の倉庫へ来た。
理由は獅鷹メンバーに鳳皇と同盟を組んだ事を正式に伝える為。
倉庫に来てすぐ鳳皇と同盟を結んだ事を獅鷹メンバーに伝えると、両幹部は二階の幹部室へ移動。
あたしも少しの間部屋に居たけど、貴兄達の会話がちんぷんかんぷんになってきたから逃げてきた。