Ri.Night Ⅳ
-客観的視点-
「──オイオイ。兄ちゃんいいのかよ。愛しの妹チャンが喧嘩してんぜ?」
「問題無い。あれはじゃれ合ってるだけだ」
獅鷹幹部、そして鳳皇幹部が部屋から出て見たモノ。
それは凛音の“遊んでいる姿”だった。
今、凛音が遊んでいるのは透と砂月。
そして、新入りの計三人。
トップバッターの慎はというと、四人から少し離れた所で仰向けになって転がっていた。
服は乱れ、汗でベトベト。
その様子から察するに、慎が先に降参の旗を揚げたのだろう。
「慎の奴また凛音にやられたのかよ。根性ねぇな」
廊下の手摺りに両腕を掛け、慎を見下ろしながら愉快に笑う嵐。
「本当に勿体無いよね。凛音が男なら幹部間違いナシなのに」
「……アイツは無駄に強すぎんだよ」
時人の言葉に遊大が不満げにそう零す。
視線の先には遊んでいる凛音の姿。
その姿は可憐にして優美。
舞うように繰り出される手足は喧嘩をしているようには見えない。
「……クッ」
力は弱いが、人よりも圧倒的に多い手数。
独特の喧嘩スタイルにほとんどの者は翻弄される。
「まさかアイツがあんなに強かったなんてな……」
「……俺、りっちゃんに勝てる気しねぇー」
「俺は勝つ!」
嵐と同様、手摺りへ凭れた煌と彼方がしみじみとそう言い放ち、それを聞いた陽が一人闘志を燃やしていた。