Ri.Night Ⅳ

────…


皆のお陰で十夜達を気にする事なく自然体でいられた。


気付けば遥香さんの家に着いていて。


「皆、助けてくれてありがとう。無理言って送って貰ってごめんね」


車から降りる前に申し訳なさそうにお礼を言ってくれた遥香さん。


同様に葵さんもお礼を言ってくれた。



簡単な挨拶を交わし、二人が車から降りていく。


……え?十夜?


ホッと息をついたのも束の間。

ドアが締まると思いきや、遥香さんに続いて車を降りようとする十夜。


なんで?


「──待ってろ」


降り際にそう告げた十夜は、あたしの頭に手を乗せると二人の元へと歩いていった。


なんで十夜が……。



「アイツ、遥の親に色々世話んなってんだよ。家に来たら顔見せねぇとって思うんだろ」


不意に掛けられたその声に振り向くと、煌は座席に凭れて十夜を見ていて。

気にすんな、とあたしの頭を小突いてきた。


「そう、なんだ……」


親に顔を見せる……か。

そうだよね。

お世話になってる人の家に来たら顔を見せないのは失礼だもんね。



「あー!もう!!」


「わっ!」

「び、ビックリした!」


突然の叫び声にビクッと飛び上がった陽と彼方。

そりゃ驚くよね。


だって、叫んだだけではなく思いっきり自分の両頬を叩いたのだから。
< 287 / 476 >

この作品をシェア

pagetop