Ri.Night Ⅳ
────…
皆のお陰で十夜達を気にする事なく自然体でいられた。
気付けば遥香さんの家に着いていて。
「皆、助けてくれてありがとう。無理言って送って貰ってごめんね」
車から降りる前に申し訳なさそうにお礼を言ってくれた遥香さん。
同様に葵さんもお礼を言ってくれた。
簡単な挨拶を交わし、二人が車から降りていく。
……え?十夜?
ホッと息をついたのも束の間。
ドアが締まると思いきや、遥香さんに続いて車を降りようとする十夜。
なんで?
「──待ってろ」
降り際にそう告げた十夜は、あたしの頭に手を乗せると二人の元へと歩いていった。
なんで十夜が……。
「アイツ、遥の親に色々世話んなってんだよ。家に来たら顔見せねぇとって思うんだろ」
不意に掛けられたその声に振り向くと、煌は座席に凭れて十夜を見ていて。
気にすんな、とあたしの頭を小突いてきた。
「そう、なんだ……」
親に顔を見せる……か。
そうだよね。
お世話になってる人の家に来たら顔を見せないのは失礼だもんね。
「あー!もう!!」
「わっ!」
「び、ビックリした!」
突然の叫び声にビクッと飛び上がった陽と彼方。
そりゃ驚くよね。
だって、叫んだだけではなく思いっきり自分の両頬を叩いたのだから。