Ri.Night Ⅳ
「え、何?」
そう呟いたのと同時にガチャンとロック解除の音がした。
壱さんが運転席側にある解除ボタンを押したのだろう。
……っていうか、え?外に出るの?
どうしたらいいのか分からずにいると、外からドアを開けられた。
「来い」
「え、ちょ……」
グイッと手を引かれ、無理矢理車から降ろされる。
車高が高いワゴン車。
すぐには足がつかなくて前へと倒れた。
「……っ」
頭から突っ込んだあたしを十夜が受け止めてくれる。
「……ありがと」
顔を上げると、玄関先には遥香さんと葵さんの姿があった。
葵さんの視線が少し鋭く感じるのは気のせいなんかではないと思う。
遥香さんのご両親の姿はない。
皆と騒いでる間に挨拶を済ませたのだろうか。
と言うか、何であたし車から降ろされたの?
疑問は解けぬまま十夜に手を引かれ、二人の元へと連れて行かれる。
突き刺さる二人の視線。
特に葵さん。
遥香さんの恋敵が手を繋いで歩いてくるのだからそりゃいい気はしないと思う。
十夜は並んで此方を見ている二人の前に一定の間隔を空けて立ち止まった。
その半歩後ろであたしも立ち止まる。
十夜?
「遥香、コイツ俺の女になったから」
顔を上げようとしたその時、耳に入ってきたのは信じられない言葉。
「えっ!?」
その言葉に声を上げたのは葵さんだった。
まさか此処でそんな事を言われるとは思ってもいなかったあたしは、驚きすぎて何の言葉も出ない。