Ri.Night Ⅳ
繋いでいる手にキュッと力が篭る。
十夜の視線は真っ直ぐ遥香さんへと向けられていて。
……っ、十夜……。
その瞳を捉えた瞬間、じわりと嬉しさが込み上げてきた。
遥香さんが目の前にいる事も忘れて、十夜をジッと見つめる。
「……そう」
間を空けて落とされたのは抑揚のない声。
その声に振り向くと遥香さんの表情に変化はなく、ただ真っ直ぐ十夜を見ているだけ。
「はる──」
「葵、いいの」
しがみつく葵さんを制し、小さく笑う遥香さん。
その表情はどこか余裕があって。
けれど、十夜を見つめるその瞳には少し寂しさが宿っているような気がした。
あたしにはその表情の意味が分からなかった。
何故笑っていられるのか。
十夜が好きなのに、なんで……。
その意味は直ぐに分かった。
「知ってたから」
……え?知ってた?
ってどういう──
「遥香、知ってたって……!」
葵さんが遥香さんの腕を激しく揺さぶる。