Ri.Night Ⅳ
72.逃走
────…
「でーきたっ!」
「……いつ見ても凄ぇな。その化けっぷり」
変身し終えたあたしを見て、まるで化け物を見るかのように顔を歪める煌。
「黒髪、キマッてるでしょ?」
普段なら絶対に言い返すあたしだが、今日はスルー。
何故なら、今、物凄く機嫌が良いから。
「今日のテーマは名付けて“インテリ”!」
っぽいでしょ?とサラッサラの黒髪を摘まんでポージング。
ついでに一回転。
そんなあたしを見て、陽と壱さんが拍手をしてくれた。
「……彼方か」
「え……それ嫌」
煌の余計な返答にテンションが急降下。
回転が止まり項垂れるあたしはテンションの起伏が激しい。
まぁ、確かにインテリと聞けば彼方だけどさ。
なんか嫌。
「りっちゃん、それ酷くね?」
「………」
「え、無視?なぁ、りっちゃんってば!」
不服そうに呟いたと思いきや、鬱陶しい程しつこく話し掛けにくる彼方。
「りっちゃん!りっちゃんってば!」
分かった。分かったからそんなに連呼しないでよ。
「彼方」
「何!?」
「眼鏡貸して」
「は?」
手を差し出せば、「眼鏡?」と間抜け面で首を傾げる彼方さん。
ホーント、黙ってれば良い男なのにね。勿体無い。
「そう、眼鏡」
「凛音、眼鏡なんてどーすんの?」
彼方と同様、コテンと首を傾げる陽が堪らなく可愛くて、
「陽っ!!」
「手を広げるな、手を」
抱き付こうとしたら煌に即行阻止された。