Ri.Night Ⅳ
「お前、行くのは良いけどバレんじゃねぇぞ?」
『大丈夫!今日の俺は完璧だし』
「……確かに。その風貌じゃりっちゃんだって分かんねぇよな。マジイケメン」
「ホーント。声とかどうなってんの?」
「凄いよね~。凛音ちゃん声優になれるよ」
『いやいやそれほどでも~』
皆に誉められ、気分は上々。
ニヤけるあたしを見て煌が冷ややかな視線を送ってくるが気にしなーい。
見るんなら見ろってんだ!
「凛音ちゃん、もうそろそろ出ないと」
「えっ!?もうそんな時間?」
時計を見ると、壱さんの言う通り約束の時間まであと十五分しかなかった。
急いで鞄から財布を取り出し、ポケットに入れる。
携帯を手に持つと、「いってきます!また後でね!」と言って立ち上がった。
玄関を出て壱さんと並んで階段を下りる。
すると、ふと感じたのは複数の視線。
階段下へ目を向けると、そこには不審な目で此方を見る鳳皇メンバーの姿があった。
その目は明らかにお前誰だよ、と言っている。
……そうか、皆この姿を見た事がないんだ。
だったら不審がられても仕方ないよね。
「みんな凛音ちゃんだって気付いてないね」
皆の反応を見てクスクスと愉しそうに笑う壱さん。
「ね、手振ってみて?」
そう言った壱さんは明らかに面白がっていて。
まぁ、それに乗っかるあたしも人の事言えないんだけど。