Ri.Night Ⅳ

試しにヒラヒラと手を振ってみると、やっぱり皆の反応は思った通りだった。


眉を潜める人もいれば不思議そうに顔を見合わせる人もいて。


あたしと壱さんはその反応に堪えきれず、プッと吹き出してしまった。


そんなあたし達を見て更に怪訝な顔をする皆。


「あたし、凛音だよ?」と種明かしをすれば、みんな腰を抜かしそうになるぐらい驚いていた。



「男よりもイケメンなんて……」

「宝塚もビックリ……」


何故か意味不明な言葉が飛び交い、その言葉にまた壱さんが吹き出す。


「宝塚って!」


余程ツボに入ったのか、器用にお腹を抱えながら歩く壱さん。

その姿にみんな苦笑。


皆と軽い挨拶を交わし、「いってらっしゃーい!」と手を振って送り出されたあたし達は待ち合わせ場所へと向かった。



壱さんとの短いドライブデート。


その間、あたしは終始苦笑していた。


だって壱さん、「凛音ちゃん、ナンパについてっちゃ駄目だよ?」とか、「今日の凛音ちゃん可愛いから心配」とか。


終いには「何かあったら絶対電話してね?潰しに行くから」なんてコワイことまで言い出すんだもん。


「壱さん、あたし男装してるから絶対ナンパされないよ!」


そう何回も言ってるのに、


「そんなの分からないよ。変な奴多いんだから」


と同じ事を何度も繰り返す壱さんにもうお手上げ状態。


心配してくれている壱さんにあたしはそれ以上何も言えず、「うん、気をつけるね」と素直に頷くだけ。


……はぁ。

最近の壱さんは本当に心配性だ。

煌ママに毒されたんじゃないかって思うぐらい。
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