Ri.Night Ⅳ
「凛音、お前は此処で総長が帰ってくるまで待ってるんだ」
「……待ってる?」
突然慎から投げ掛けられた言葉。
その言葉に直ぐ様視線を戻す。
……何?ちょっと待って。
もしかして──
「もしかして、それだけ?」
「それだけって?」
「待ってるだけかっていう意味」
「そうだな。待ってる間お前は俺とお喋りだ」
「………っ」
にっこりと笑って見せる慎にグッと眉を潜める。
……あたしは本当に“待っている”だけなんだ。
鳳皇と獅鷹が喧嘩している間、あたしは此処で待っているだけ。
何もせず、ただ貴兄が帰ってくるのを待ってるだけなんだ。
……そんな事、
「お前と喋りたい事沢山あるんだよなー。取り敢えずそこに座れよ」
そんな、事……。
「……っ、」
慎があたしに背を向けた瞬間、あたしは鉄パイプ目掛けて思いっきり走った。
山積みにされた鉄パイプから一本拝借し、その一メートルはあるであろう長い鉄パイプを大きく振り回す。
「凛音、お前、何する気だよ?」
慎が振り向いた時には既に遅く、あたしは慎に向かって鉄パイプを突き出していた。
それを見た慎が、ゴクリと喉を鳴らして待てと言わんばかりに両手を突き出す。
慎の瞳には動揺の色が浮かんでいて、鉄パイプの先が微かに揺れ動くと、それに比例して慎の足が一本後ずさっていった。