Ri.Night Ⅳ
「じゃあ、凛音ちゃん、何かあったら俺等でも貴音くんでもいいから電話してね」
「うん、分かった。壱さんありがとう!」
まだ言ってる、と心の中で苦笑したけど、敢えて何も言わずに笑顔でお礼を言った。
車が見えなくなるまで見送り、見えなくなったところで妃奈との待ち合わせ場所へ猛ダッシュ。
待ち合わせ場所は繁華街にある有名なファッションビルの入口。
此処なら人が多いしナンパされないだろうと思ってたのに。
「ねぇ、誰か待ってるの?」
「友達が来るんなら一緒に遊ばない?」
何でナンパされているんだろう。
『──その子、俺の。触らないでくれる?』
答え。
妃奈がむちゃくちゃ可愛いから。
妃奈に触っている右側の男の肩を掴むと、にっこりと笑顔で笑い掛けた。
振り返った男の向こう側には怯えた表情の妃奈がいて、あたしを見た途端ホッと頬が緩んだのが分かる。
……ふーん。妃奈を怯えさせるなんて良い根性してるじゃない?
「何だ、お前」
『さっきの言葉聞いてなかったの?俺、その子の連れ』
そう言うや否や、ハッと乾いた笑みを零すナンパ男達。
「チビじゃねぇか」
『はぁ?』
男が吐き捨てた言葉。
それは“リン”にとって禁句の言葉だった。
人が穏便に済ませてやろうと思ってたのに。