Ri.Night Ⅳ

「じゃあ、凛音ちゃん、何かあったら俺等でも貴音くんでもいいから電話してね」


「うん、分かった。壱さんありがとう!」


まだ言ってる、と心の中で苦笑したけど、敢えて何も言わずに笑顔でお礼を言った。


車が見えなくなるまで見送り、見えなくなったところで妃奈との待ち合わせ場所へ猛ダッシュ。





待ち合わせ場所は繁華街にある有名なファッションビルの入口。


此処なら人が多いしナンパされないだろうと思ってたのに。


「ねぇ、誰か待ってるの?」

「友達が来るんなら一緒に遊ばない?」


何でナンパされているんだろう。




『──その子、俺の。触らないでくれる?』



答え。

妃奈がむちゃくちゃ可愛いから。



妃奈に触っている右側の男の肩を掴むと、にっこりと笑顔で笑い掛けた。


振り返った男の向こう側には怯えた表情の妃奈がいて、あたしを見た途端ホッと頬が緩んだのが分かる。


……ふーん。妃奈を怯えさせるなんて良い根性してるじゃない?


「何だ、お前」


『さっきの言葉聞いてなかったの?俺、その子の連れ』


そう言うや否や、ハッと乾いた笑みを零すナンパ男達。


「チビじゃねぇか」


『はぁ?』


男が吐き捨てた言葉。

それは“リン”にとって禁句の言葉だった。


人が穏便に済ませてやろうと思ってたのに。
< 320 / 476 >

この作品をシェア

pagetop