Ri.Night Ⅳ
「リンくん、お兄ちゃん達が迎えに来てくれるんだよね?」
「うん、予定ではそうなってる。一回電話してみようかな」
一応待ち合わせしている時間は五時半だけど、交通状態によったら遅れる場合もあるし。
早く待ち合わせ場所に行ってもこの荷物じゃ待ってるのしんどいしね。
大体の時間が分かればその時間まで此処で時間潰していられるし。
電話、してみようかな。
ゴソゴソとポケットの中から携帯を取り出し、履歴から貴兄の名前を探して発信ボタンを押した。
一瞬の沈黙の後、耳に入ってきたのは聞きなれた呼び出し音。
そのメロディに耳を傾け、貴兄が出てくれるのを待つ。
けど、
『……出ない』
いつもならすぐ繋がるのに、何故か今日に限って繋がらない。
仕方なく電話を切り、優音に電話をしようとした──その時。
『遊大?』
携帯の画面に表示されたのは遊大の名前。
もしかして貴兄が電話に出れないから遊大が代わりにかけてきたのだろうか。
取り敢えず出なきゃ。
『あ、もしもし遊大?貴兄は──』
『凛音!今すぐ待ち合わせ場所に来い!』
『は?』
──この時、まさか“あの人”が近くで大変な事態に陥ってるなんて思ってもいなかった。