Ri.Night Ⅳ

「お前等──、」


十夜が口を開いたその時、タイミング悪く携帯の着信音が鳴り響いた。


それは十夜の携帯からだった。


十夜は再び口を閉じ、ポケットから携帯電話を取り出す。


「遥香?」


画面に表示されていたのは遥香の名前だった。


──刹那、十夜の脳裏に嫌な予感が過り、直ぐ様通話ボタンを押して電話に出る。



「遥香?どうし──」


『……っ、十夜!助けてっ!……今、追われ……っ!』


『遥香!そっちは駄目!』


受話口から聞こえてきたのは荒々しい息遣いと二人の叫び声。


「オイッ!遥香!」


「十夜、今の声!」


十夜の携帯から微かに漏れた遥香の叫び声に壱が声を上げ、テーブルに手をつく。


他の三人も遥香の叫び声が聞こえたのか、表情を固くし、十夜を見据えた。


「遥香!今どこにいる!?遥香!」


『……ッ、今、繁華、街っ……!あお、いと居たら突然、追いかけられ、て……』


「繁華街?」


走っているのか息切れが激しく、吐息混じりの声は途切れ途切れにしか聞こえない。


だが、今繁華街に居る事とアオイという友達が一緒だという事は分かった。



『ホントはっ、電話したくなかっ……たんだけど…ッ、充くん、が…電話した方がいいって……!』


「充?充も一緒に居るのか!?」


「……は?充?」


十夜の発した言葉に四人が小さく目を見開く。



“充”


それは遥香が留学する前に遥香を護衛していた男。


その男は遥香が留学した後、関西の方へ引っ越して行った。


その充が何故遥香と一緒に居る?
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