Ri.Night Ⅳ

十夜を除いた四人は同時に顔を見合わせ、首を振り合った。


どうやら帰って来ている事は誰も知らなかったらしい。


「遥香、充と電話代われ!」


──いや、十夜以外は。




「十夜、お前……」


何故、十夜は驚かない?


まるで充が帰って来ている事を知っているかのようなその口振りに眉を潜める四人。


けど、十夜に問い詰める事はしなかった。


今はそんな事を聞いている場合ではないと分かっていたから。


それよりも、今は少しでも今の状況を把握しなければいけない。



『充くんとは、一緒に居ないの……っ!』


『遥香!此処に隠れよう!』


『……ッ、充くん、は…後で迎えに来てくれる予定で……、でも、十夜より先に電話したから、今こっちに向かってくれてると思う』


「……分かった、今の状況は?」


『今、どっかのビルに入って隠れてるとこっ』


言葉通り上手い事追っ手を撒いてビルに隠れたのか、さっきよりはだいぶ息が整っていた。


「場所は?出来るだけ詳しく」


『場所?えっ…と、雷さんのお店から少し離れた所にある……、葵、此処何処なんだろう?』


『分かんない。古びたビル?…マンション、ではないと思う』


『……十夜、ごめん、分かんない。けど古いビルに居る』


「分かった。すぐに行く。……煌、貴音に電話しろ」


「……あぁ」


十夜は煌に目配せをしてそう言うと、テーブルの上に置いてあった携帯を手に取り、貴音に電話を掛けた。


「十夜、下の奴等動かすか?」


「いや、いい。大人数で行ったら大事になる。それに、繁華街にはもうすぐ貴音達が着く。何かあったら協力して貰う」


彼方の問い掛けに一寸の迷いもなくそう応えた十夜は、遥香に「そこから動くな」と伝えると煌に指示を出した。
< 327 / 476 >

この作品をシェア

pagetop