Ri.Night Ⅳ
ピリリリリリ。
ホッと息をついたのも束の間、突然鳴り出した十夜の携帯電話。
そして、その着信音とほぼ同時に鳴った煌の携帯。
「貴音だ」
煌のその言葉を聞いた瞬間、十夜は胸騒ぎがした。
直ぐ様凛音からの電話に出る。
『……ッ、十夜!?遥香さんは!?遥香さんはどうなったのっ!?』
通話ボタンを押した途端、通話口から聞こえた凛音の声。
その声は少し吐息混じりで、今走っているのだとすぐに気がついた。
声の様子から察するに、凛音に何かあった訳ではないらしい。
「凛音、お前今──」
「は!?凛音を止めろ!?意味分かんねぇよ!」
突然車内に響き渡ったその声に十夜は息を詰まらせた。
“凛音を止めろ”
煌は確かにそう言った。
まさか……。
「凛音!お前今何処にいる!?」
まさか──
『十夜!遥香さんの居場所教えて!早く!』
そう、その“まさか”だった。
凛音は遊大から電話を受け、既に遥香の元へ走り出していたのだ。
貴音が煌に電話したのは凛音に電話を切られたから。
座席に深く腰掛けていた十夜は身体を起こし、視線をさ迷わせる。
当然だろう。
『十夜!あたしが一番遥香さんの近くにいるの!早く助けなきゃ!』
一番怪我を負わせたくない人が自ら敵に突っ込もうとしているのだから。