Ri.Night Ⅳ


「凛音!開けろ!凛音!」


慎、ごめん。

あたしは慎とお喋りしている訳にはいかないの。


獅鷹と鳳皇を止めなきゃいけない。


此処から脱出して止めないと。


だから、ごめん。


きっと誰か直ぐ助けに来てくれるから。



「凛音!止めろ!行くな!凛音!」


ドンドンと激しく揺れる扉から背を向け、その場から迷うことなく駆け出した。



「凛音!!」


慎の叫び声を背に、貴兄が出ていった扉を荒々しく開ける。


開けた先にあったのは、薄暗がりの倉庫らしき部屋。


埃っぽい空気に直ぐ様鼻を押さえ、先へと突き進む。


六帖程の室内に所狭しに並ぶスチール製の棚。


その棚は段ボールやら機械やらが置いてあり、自分の背丈より遥かに高かった。


足元に積まれた段ボールを上手く避けながら突き進んでいけば、左角に見えたのは古びた扉。


この扉が出口?


意を決してドアノブを回す。


扉を押すと、視界一杯に広がったのは生い茂る木々。


やっぱりこの扉で合ってたんだ。


取り敢えず倉庫から出て、建物の表側に回ってみる。


運良く誰とも遭わずに此処まで来れたものの、それはそれで困るという事に気が付いた。


あたし、何処で抗争するのか知らないや。



あー、どうしよう!!


肝心な事が分からないんじゃ進みようがないじゃない!!



あたしはいつもこうだ。

どこか抜けている。


もう、どうしたらいいのー!!


と、貴兄頭を抱えてグルグル回転している時だった。



……あ。人見っけ。

< 34 / 476 >

この作品をシェア

pagetop