Ri.Night Ⅳ
「凛音!開けろ!凛音!」
慎、ごめん。
あたしは慎とお喋りしている訳にはいかないの。
獅鷹と鳳皇を止めなきゃいけない。
此処から脱出して止めないと。
だから、ごめん。
きっと誰か直ぐ助けに来てくれるから。
「凛音!止めろ!行くな!凛音!」
ドンドンと激しく揺れる扉から背を向け、その場から迷うことなく駆け出した。
「凛音!!」
慎の叫び声を背に、貴兄が出ていった扉を荒々しく開ける。
開けた先にあったのは、薄暗がりの倉庫らしき部屋。
埃っぽい空気に直ぐ様鼻を押さえ、先へと突き進む。
六帖程の室内に所狭しに並ぶスチール製の棚。
その棚は段ボールやら機械やらが置いてあり、自分の背丈より遥かに高かった。
足元に積まれた段ボールを上手く避けながら突き進んでいけば、左角に見えたのは古びた扉。
この扉が出口?
意を決してドアノブを回す。
扉を押すと、視界一杯に広がったのは生い茂る木々。
やっぱりこの扉で合ってたんだ。
取り敢えず倉庫から出て、建物の表側に回ってみる。
運良く誰とも遭わずに此処まで来れたものの、それはそれで困るという事に気が付いた。
あたし、何処で抗争するのか知らないや。
あー、どうしよう!!
肝心な事が分からないんじゃ進みようがないじゃない!!
あたしはいつもこうだ。
どこか抜けている。
もう、どうしたらいいのー!!
と、貴兄頭を抱えてグルグル回転している時だった。
……あ。人見っけ。