Ri.Night Ⅳ
「……馬鹿と能天気は余計だと思う」
「本当の事だろうが」
「………」
「ククッ。アホ面」
むぅ、と唇を突き出すあたしを見て何故か楽しそうに笑う十夜。
そんな十夜にまたキュンと胸がときめくあたしは馬鹿なのだろうか。
「……って十夜、血!!」
「あ?」
視線を落として漸く思い出した十夜の怪我。
赤く染まった服を見てサーッと血の気が引いていく。
馬鹿馬鹿馬鹿!あたしの馬鹿!!
なんでこんな肝心な事忘れてたんだろう。
こんなんじゃ十夜の彼女失格じゃない。
「十夜、コレで押さえて!」
「こんなの舐めときゃ治る」
「治る訳ないでしょ!?っていうかこんなとこ舐めれないじゃん!」
ハンカチを受け取ったにも関わらず傷口にあてようともしない十夜。
あぁもう、これって縫わなくても大丈夫なの!?結構深いんだけど。
十夜からハンカチを奪い取り、そっと傷口にあてる。
痛くないかな?
ちらりと顔を上げて確認すれば、
「な、なに?」
顔を歪めるどころか何故か妖艶に微笑まれた。
「お前が舐めて治してくんねぇの?」
「は!?」
な、何を言い出すんだこの人!!
「そ、そんな事する訳ないでしょ!馬鹿っ!」
もう、彼方の変態が移ったんじゃないの!?
「……痛ぇ。冗談だろうが」
「知らないっ!」
軽く傷口にハンカチを押し付けると十夜は少しだけ顔を歪めた。
ったく、十夜が言うと冗談に聞こえないから止めてほしい。