Ri.Night Ⅳ
74.惑乱
「何があった?」
嵐ちゃんの後を追う様に部屋から出ると、店内にはさっきまでいなかった獅鷹メンバーが勢揃いしていた。
「今倉庫から連絡が入った」
倉庫から?
「Dが乗り込んできたらしい。数は数十人」
は?
「Dが!?乗り込み!?数十人!?」
煌の言葉に思わず驚愕の声が上げてしまった。
当然だ。
だって奴等は今さっき逃げたばかりなんだから。
「嘘でしょ……?」
まさかすぐに倉庫へ向かうだなんて……。
けど、
「それが鳳皇だけじゃねぇんだよ。鳳皇の傘下全部が襲撃された」
驚くのはまだ早かった。
「は?」
一瞬聞き間違えたのかと思った。
けど、直ぐにそうではないと悟った。
だって煌だけじゃなく、鳳皇、獅鷹の全員が険しい表情をしていたから。
「鳳皇だけじゃない。ウチもだ」
「え?」
「獅鷹の倉庫もほぼ同時刻に襲撃された。傘下もだ」
「獅鷹も?」
そんな、馬鹿な……。
貴兄の物言いからして冗談ではない事ぐらい直ぐに分かった。
だけど、とてもじゃないけど信じられなくて。
獅鷹もだなんてそんな事……。
「計画的犯行だな」
「……あぁ。奴等は煙幕弾を投げたにも関わらず遥を連れ去らなかった。となると、奴等の目的は最初から遥ではなく倉庫だったという事になる。
まぁ、遥の拉致は無理だと判断したからだとも考えられるけど」
目的が遥香さんではなく倉庫だった?