Ri.Night Ⅳ
……え? けしかけた?
貴兄の言葉が鋭利な刃物となって襲い掛かる。
その刃物に追い立てられる様に更に一歩、後ろへと後退した。
瞬間。
「……っ!!」
カランカランカラン……。
足元にあった“何か”を思いっきり踏んでしまった。
「誰だ!!」
中田の声とほぼ同時に後ろへと倒れていく身体。
予想外の出来事と冴えない思考のせいで受け身が取れない。
「っぅ、」
何も出来ないまま地面へと思いっきり叩きつけられ、強烈な痛みが尾てい骨を襲う。
それと同時だった。
今まで覗いていた扉が左右に勢いよく開いたのは。
ヤバい!
そう思った時にはもう遅かった。
「お前……凛音!?」
信じられないと言った表情であたしを見下ろしているのは中田。
半開きになったその口からは「何故」と独り言の様に零れ落ちる。
けれど、あたしの耳にはその言葉なんて微塵も届いていなかった。
あたしの視線は既に中田の後方、
貴兄へと向けられていたのだから。
貴兄の隣には優音、そしてその後ろには下っ端らしき男が二人いた。
各自各々の表情であたしを見下ろしている。