Ri.Night Ⅳ
そう思っているのに、一度溢れた涙はなかなか止まってくれない。
ボロボロと零れ落ちる涙が両頬を濡らしていく。
それを指で荒々しく拭うけど、結局それも無駄に終わった。
……なんでなんでなんで。
なんで止まってくれないのっ……。
「凛音、そんなに擦るな」
「……っ、」
十夜の手があたしの手首を掴み、擦る指をピタリと止める。
「心配させて悪かった」
そう言うや否や、十夜は後頭部に回した手であたしを強く引き寄せた。
広い胸の中へと閉じ込めた事によって暗くなった視界。
それはあたしの聴覚を過敏にさせた。
十夜の甘い香りに支配され、涙が余計に溢れてくる。
「十夜……」
あたしは皆がいる事も忘れ、十夜の背中に両手を回してギュッと強く抱き締めた。
そして、その温もりに身を任せる。
……ねぇ十夜。
気持ちの整理が出来たら、遥香さんとの事教えてくれる?
十夜の気持ち、教えてくれる?
あたしは本当の気持ちが知りたい。
十夜の、本当の気持ちが知りたいよ………。
その後、何とか落ち着いたあたしは作っておいたカレーを皆に振る舞った。
皆は「美味しい!」と言って食べてくれて、その笑顔に少しだけ気が楽になった。
ご飯を食べ終わったのは23時を回っていて、十夜達はこれから尋問する為に捕らえた“D”の元へ行くと言う。
何時に終わるか分からないと言われたあたしは、「それなら今日は此処に泊まるよ」と言って一人リビングに残った。
今は家に帰るのも億劫で、正直、もう動きたくないから。
頭を使い過ぎて疲れてしまった。
今はもう何も考えずに寝たい。
そう思ったあたしは、頭をリフレッシュする為にもう一度お風呂に入った。