Ri.Night Ⅳ
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「オイ、何で十夜機嫌悪ぃんだよ」
「……分かんない。“D”の事でも考えてるんじゃないの?」
こそっとあたしに耳打ちしてきた煌にそっけなくそう応えると、煌は難しい顔をしながらソファーに背中を預けた。
それを見てあたしも横向きに倒れる。
あたしが倒れたのは、二人掛けソファー。
煌が座っているのは左斜め前にある三人掛けソファーだ。
煌の左隣には彼方がいて、その向かいのソファーには陽と壱さんが座っている。
十夜は説明の後、特等席へ行って煙草を吹かしていた。
煌の言葉から察するに、今の十夜は相当機嫌が悪いのだろう。
それは多分、いや、百パーセントあたしのせいだ。
あたしがトイレに行った後、部屋に戻らなかったから。
ちょうど煌達が来たというのもあるけれど、もし来ていなくても寝室には戻らなかった。
ううん、戻れなかった。
真っ直ぐに目を合わせる勇気がなかったから。
その後、十夜が部屋から出てきた時も目を合わさなかった。
説明の時、二人掛けソファーに並んで座っていても隣を見る事はなくただ頷くだけ。
十夜が機嫌悪いのはあたしのその態度のせいだろう。