Ri.Night Ⅳ
「凛音……」
マラソンでもしてきたのかと言いたくなる程大きく肩で息をしているあたし。
そんなあたしとは反対に、優音はクッションを抱き締めたまましれっとしていた顔であたしを見ている。
この温度差は一体何なんだろう……。
「つーか、それ、お前にも言える事だよな」
「………へ?」
一時の沈黙が流れた後、優音からポツリと零されたのは想像とは全く違った言葉。
てっきり言い返されるのかと思っていたあたしは拍子抜けしてしまい、素頓狂な声を出してしまった。
「……どういう意味?」
意味が分からない。
あたしにも言えるってどういう事?
っていうかあたし今なんて言ったっけ?
勢いに任せて喋ったせいか、自分の言った言葉を覚えていない。
「何もしない内に諦めるとか凛音らしくない。容姿が似てる?嫌いって言われるより全然良いし。外見より中身で勝負だろ?もっと自分に自身持てよ」
「……っ、」
それって……。
「アイツが元カノを好きだって言うんならそれよりも好きになって貰えばいいじゃねぇか」
さっき、あたしが優音に言った言葉?
「恋は自分で勝ち取る」
「………」
「お前、今自分でそう言ったよな?」
「……優音」
「お前も元カノに負けんじゃねぇよ」