Ri.Night Ⅳ

さっきまでいじけていた優音はもう何処にもいない。


目の前にいるのはいつもの優音。

自分の意思をちゃんと持っている優音の瞳だ。


力強い瞳。



「お前の言った言葉は俺が言いたかった言葉だ。俺達が逆の立場だったら、お前はきっとさっきの言葉を俺に言ってた」


さっきの、言葉……。


「人間、悩んだ時は必然的にネガティブになる。そんな時にどれだけ考えても答えなんて導き出せない。

今のこの現状をお前が客観的に見た時、“答え”が出ると思ったんだ」


客観的に見た時?


それってまさか……。


「俺達の考え方は基本似ている。こんな回りくどい事をしなくても俺の意見を直接言えばよかったんだけど、俺は自分で気付いて欲しかった。

俺に言われたからそう思うんじゃなくて、それが自分の考え方だってちゃんと自覚して欲しかった」


「優音……」


「お前、人の意見に左右されやすいからさ」


そう言った優音はフッと笑みを零し、呆れた顔で肩を竦めてみせた。


「間違ってねぇだろ?」


真剣な表情を崩し、ニッと悪戯っ子のように笑う優音にじんわりと熱いものが胸中に込み上げてくる。
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