Ri.Night Ⅳ

「凛音、こっちへ帰って来てもいいからな。って言うか帰って来い」


「は?ちょ、何それ!応援してくれるんじゃないの!?」


優音のお陰でやっと頑張ろうかなって思えたのに、それを優音が壊そうとするなんて。


意味分かんない!



「アイツムカつくんだよ。凛音泣かせるなんて許せねぇ」


「……優音」


繋いでる手をキュッと握り締められ、不満げな声が落ちてくる。


頭を胸に預けたまま優音を見上げると、声色と同様、不満げな表情が映った。


「優音、心配してくれてありがと。でもあたしは帰らない」


離れたくないから。

十夜と離れたくない。


だって、誓ったんだもん。



「ずっと十夜の傍にいるって誓った」



ずっとずっと傍にいるって。


来年も、再来年も。

毎年一緒に花火見に行くって約束した。



「……アイツの傍にいたらまた泣くかもしれねぇんだぞ?」


「優音……」


「元カノだって近くにいる。それでも──」


「傍にいるよ」


「……凛音、」


ゆっくりと身体を起こし、優音を見下ろしながらそう断言する。


「あたしは何があっても十夜を諦めない。十夜が遥香さんを好きだって言うんなら振り向かせてみせる。当たって砕けろがあたしのモットーだ!」


「凛音……」


「どうしても駄目だったらその時は慰めてよ。あたしも慰めてあげるから」


「おぅ………って、なんで俺まで振られる事前提なんだよ!」


「あははははは!」


あたしの失礼発言に目敏く気付いた優音が勢いよく起き上がり、あたしの腕を強く引く。


そして、またしても擽り攻撃が始まった。
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