Ri.Night Ⅳ

引っ越しの準備をしに行った日、マンションの外で十夜が待っていた。


顔を見た途端逃げ出したあたしは十夜に追い掛けられ、その後階段で捕まった。


その時十夜の想いを聞いたんだ。



『……お前の為に一度は離れようとした』


『……だけど、駄目だった。俺はお前を離してやれない』


『俺の中から、消えない』


『お前の顔が、消えない』


『──お前が傍に居ないと、ろくにメシも食えない』


『お前が隣に居ないと、眠れない』


『お前が居ないと、“俺”じゃいられない』


『だから、離してやれない』


『……凛音、俺を拒絶するな』


『お前に拒絶される度、俺の心が死んでいく』


『……凛音、俺はあの時言った言葉を撤回したつもりはない』


『“お前は、俺の傍から離れるな”』


『それまで忘れたとは言わせねぇぞ』



あの時言われた沢山の言葉。

十夜の、想い。


そして──



『全て俺のせいにしてもいい』


『それで、お前が俺の傍に居るのなら』


『お前の心が手に入るのなら、いくらでも俺を責めていい。だから、もう離れるな』


『……好きだ』


『お前の事が……好きだ』


『お前しか、いらない』



十夜からの、告白。
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