Ri.Night Ⅳ


「よ、よしっ!優音のお陰で決意もした事だし、十夜に遥香さんの事聞きに行ってくる!」


動揺が隠し切れず、誤魔化す為に飛び起きた。


「ダーメ。今日は俺といるの」


けど、手首を掴まれ阻止される。


「すぐ帰ったらおしおきになんねぇじゃん」


「お、おしおき?」


「そ。凛音がこんだけ苦しんだんだ。アイツも少しは苦しめばいいんだよ」


ちょ、優音サン。笑顔が途轍もなくコワイんですケド……。


起き上がった優音はさっきとは比べ物にならない程愉しそうに笑っていて。

笑う度揺れる肩が物凄くコワイ。


……優音、十夜にだけ強気だよね。


それを言うとまた色々言われそうだから喉の奥で留めておいた。


「じゃあ今日は優音とのんびりしようかな」


「おぅ。そうしろそうしろ」


優音に助けて貰った事だし、今日は優音のご要望に答えてあげよう。


そう思ったあたしは再びフローリングにゴロンと転がった。




「優音、今日の晩御飯どうするー?」

「焼肉!」

「えぇー、またお肉ー?」

「お前も食いてぇくせに」

「……む」

「ほらみろ」





あたしは知らなかった。



「そんな……“アイツ”が……?」



優音とじゃれ合っている時、



「なんで……なんで今まで言わなかったんだよ……」



鳳皇でそんな会話が繰り広げられている事を、



あたしは知らなかった。
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