Ri.Night Ⅳ
-客観的視点-
「なんで……なんで今まで言わなかったんだよ……」
ポツリと哀しげに零された言葉。
その言葉を最後に、室内に重々しい静寂が訪れた。
言葉を発した煌は勿論、その場にいる全員が項垂れるように顔を伏せ、今聞いたばかりの内容を必死で理解しようとしている。
その表情は固く、冴えない。
顔を覆っている者もいれば頭を抱えている者もいた。
その中で平静を保っているのは話を切り出した十夜と、事情を知っていた遥香だけ。
だが、二人はただ冷静なだけで顔色は良く無い。
十夜に至ってはまるで話した内容を拒絶するかのように目を閉じていた。
「……それで、どうするつもりなんだよ」
おもむろに顔を上げた煌が十夜に向かってそう問い掛けると、他の三人も顔を上げ、真っ直ぐ十夜を見据える。
「アイツ等にも話す」
「……アイツ等って貴音達にか?」
「あぁ」
「今?“この”タイミングで?」
「……あぁ」
「……っ、お前、今言ったらどうなるか分かってんのかよっ!!」
突然声を張り上げた煌が思いっきりテーブルを叩いた。
その音に遥香がビクッと身体を揺らす。
他の三人も煌同様、納得がいかないとでも言いたげに十夜を見ていた。
「分かってる」
十夜は四人の鋭い視線をものともせずにそう言い放つ。
発せられた言葉からは一切迷いは感じられない。
それを感じ取ったのか、煌は「クソッ!」と吐き捨てると自身の髪の毛を乱暴に掻き乱した。