Ri.Night Ⅳ
「気持ち良いー!」


広い公道に出たバイクは徐々に速度を上げ、風を切る様に次々と車を追い抜かしていく。

それがまた快感で。

こんな風に声を上げてしまうのは仕方無いと思う。


やっぱバイクの後ろは爽快感があって楽しい。



身体を最大限まで起こしそっと瞳を閉じてみると、感じるのは身体全体を覆うようにして過ぎ去っていく生暖かい風。


それが不快に感じる事はなく、寧ろ心地好く感じる程で。

不思議な事に妙な安心感さえ抱いてしまった。



そっと空を見上げれば、気持ち良い程澄んだ青空が視界一杯に映る。


……綺麗。


所々にある白雲がまるで絵画のようで。

その自然の美しさに、モヤモヤとしていた心中がスッと浄化されていく様な気がした。




「ねぇ、優音。本当に女の格好で大丈夫かなぁ?」


信号が赤になった時、今がチャンスとばかりに優音にそう問い掛けてみた。


すると、


「いけるいける。今日だけだし問題ねぇよ」


返ってきたのは素っ気ない一言だけ。


余りにも軽々しく言うもんだから、更に不安度が増してしまった。


……聞くんじゃなかったかも。


本当に大丈夫なのかな?この格好。


チラリ、目線を下げて自分の格好を再確認。



今のあたしの格好。

それは、変装した“女”の格好だったりする。


何故変装しているかというと、今から獅鷹の倉庫へ遊びに行くから。

と言ってもすぐに外出するけど。



簡単に説明するとこうだ。


朝、優音にムサイ様の技をかけられていた時、優音の携帯が鳴った。


相手はシスコンブラコンの貴音お兄様。


その貴兄からの用件は今すぐ帰って来いとの事だった。


何やら問題が発生したらしく、緊急会議らしい。
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