Ri.Night Ⅳ


『今日じゃねぇと駄目なのか?』


普段なら一つ返事で帰る優音だが、今日は帰る事を渋っていた。


その原因は間違いなくあたしだ。


プロレス技は容赦なくかけるけど、やっぱり優音は優しい。


今あたしを一人にさせたくないと思ってくれているのだと思う。


けれど、そんな優音の気持ちを見抜いていた貴兄は、


『凛音も連れてこい。慎や透が遊びたがってる』


既にあたしの身の置き場所を作ってくれていた。


流石貴兄と言うべきか。

あたしの事も優音の事もちゃんと考えてくれている。


普段はシスコンブラコンのどうしようもないお兄様だけど、こういう時の理解力はやはり尊敬せずにはいられない。



『凛音、どうする?』


『一緒に行く!』


こうして貴兄の優しい計らいによってあたしも一緒に獅鷹へ行く事が決まり、必然的に変装が決定したという訳だ。


本当は男装なんだけど、慎や透達が久し振りにあたしの女装が見たいと言っているらしく女装に決まった。


女が女装って言うのも何だかオカシイけど。


最早ただの変装だよね。


でも、自分で言うのも何だけどあたしの変身っぷりは本当に凄いと思う。


ウィッグと化粧でこんなにも化けるなんて、ある意味犯罪に近い。
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