Ri.Night Ⅳ
優音は即行Uターンし、奴等に気付かれないように少し距離を置きながら追い掛けた。
「見間違いじゃねぇのか!?」
あの車に奴等がいるのが未だ信じられないのか、優音が怪訝な口振りでそう問い掛けにくる。
「見間違いなんかじゃない!アレは絶対Dだった!」
優音が怪訝に思うのも無理はないだろう。
だって、あたしもまだ信じられないのだから。
こんな所でバッタリ遭遇するだなんて誰が思うだろうか。
けど、あたしは運がいい。
偶然でも“奴等”に会えたのだから。
このまま尾行すれば奴等のアジトが分かる。
アジトさえ分かれば、あとは十夜達がどうにかしてくれるだろう。
こんな機会、もう二度と無いかもしれない。
一度ヘマしたんだ。次は失敗出来ない。
ううん。失敗したくない。
絶対に。
「あそこが、奴等の今のアジト……?」
「普通のビルみたいだな」
奴等が入って行ったのは優音の言う通り、普通の五階建てビルだった。
かなり年季の入ったビルらしく、所々に亀裂が走っている。
店舗は幾つか入っているけれど、どのお店も夜間営業らしく看板が点灯していない。
「凛音、こっち来い」
「うん」
あたし達はビルには入らず、斜め前にあるビルの入り口に身を隠して様子を窺った。