Ri.Night Ⅳ
62.決戦
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-客観的視点-
遡ること数十分前。
凛音が慎から逃げ出した頃、貴音と優音、そして遊大と中田は決戦の場である工場に足を踏み入れていた。
巨大な空間の東側には既に鳳皇の姿があり、これから闘うであろう敵を今か今かと待ち受けている。
敵が入ってくるであろう扉を鋭い目付きで睨んでいた、その時。
静かに開いた西側の扉から、一人の男が姿を現した。
けれど、その男を見ても鳳皇の視線に変化はない。
だが、次に入ってきた人物によって鳳皇の表情は一変した。
「……オイオイ、聞いてねぇぞ」
汗と共に地面へと落ちる煌の呟き。
「……どういう事だよ?何故獅鷹が中田側に居る?」
普段おちゃらけてばかりの彼方がらしくもなくその表情を強張らせた。
否、彼方だけではない。
壱も陽も、そして五人の後ろに控えている鳳皇メンバー全員も、彼方と同様表情を強張らせている。
唯一表情を変えなかったのは総長である十夜だけ。
無理もない。
今入ってきた人物。それは、取り戻そうとしている凛音の兄であり、敵対している獅鷹の総長だったのだから。