Ri.Night Ⅳ
一方、中田側の人間はと言うと……。
「面白くねぇな。少しぐらい慌てろよ」
中田を筆頭に皆が眉間にシワを寄せ、不満げに顔を歪ませている。
けど、表情を崩していたのはあくまで中田側の人間だけ。
獅鷹の人間は鳳皇と同様、眉一つ動かしてはいなかった。
ただ相手を真っ直ぐ見据え、探る。
此方もまた総長である貴音を信頼していた。
事前に伝えられた計画を実行する為、気を張り巡らせている。
そんな両者が睨みを利かせる中、次に言葉を発したのはこの人。
「中田、御託はいい。さっさと片付けるぞ」
“獅貴王”こと獅鷹総長、東條 貴音だった。
貴音の言葉にその場の空気が一変する。
張り詰めていた空気は鋭さを増し、幹部以外の人間の表情が険しくなった。
たった一言。
貴音のたった一言でその場の全員が戦闘体勢に入った。
“準備は整った”
そう言わんばかりに歪められた貴音の口元。
同じく、十夜の口元にもゆっくりと弧が描かれていく。
二人は中田の存在を忘れているかのように互いだけを見つめ、笑みを浮かべた。
「──中田」
貴音が十夜に目を向けたまま中田の名を呼ぶ。
「お前は“奴等”の事もある。参戦せずに指揮を取れ。鳳皇幹部には獅鷹幹部をぶつける」
「……チッ。しくじるなよ」
「誰に言ってる?俺は“獅貴王”だ。負ける事など有り得ない」
中田は不満を洩らしながらも素直に頷いた。
それを横目で確認した貴音は、再びにやりと口角を上げると右手を天に向けて高く突き上げた。
「“時は満ちた”。──行け」