Ri.Night Ⅳ
貴音の腕が大きく振り下ろされたのを合図に、獅鷹、そして中田の人間が鳳皇に向かって一斉に走り出す。
それと同様に、鳳皇の人間も十夜の一声でその場から駆け出した。
奇声に近い叫び声と共に敵へと襲い掛かる両者。
古い倉庫内で何百人もの人間が暴力を振るい合うその光景。
それは端から見れば酷く壮絶なものだった。
敵か味方か。
それを見分けるには特攻服を見るしかない。
黒地に一羽の鳳凰。
動く度、紅色の翼が空を切る。
それに対するは白地に一体のグリフォン。
見事なまでに合成された獅子と鷹。
時に牙を剥き、時に大空を舞う。
グリフォンと共に闘うのは黒き刃。
双剣を背に背負い、向かってくるもの全てを切り付ける。
勝敗のキーを握るのは獅鷹と鳳皇の幹部達。
下の者達とは桁外れの強さを持つ彼等は、この壮絶な争いの中でも笑みを零すほどだった。
「そんなに筋肉ばかりだと動きづれぇんじゃねぇの?」
「それは受けてみれば分かる事だぜ?」
──煌 VS 嵐
「ちょこまかと動き回んじゃねーよ!」
「へへーんだ!捕まえれるモンなら捕まえてみろ!」
──遊大 VS 陽
「ねぇ、君、喧嘩出来るの?」
「あいにく俺は頭脳派なんだ。だけど、喧嘩も出来るよ」
──時人 VS 壱
「えぇ~俺の相手りっちゃんの弟?殴れる訳ないじゃんー」
「気安く“りっちゃん”とか呼んでんじゃねぇ!」
──彼方 VS 優音
それぞれがチームの為、
そして凛音の為に闘う。
“さぁ、勝利の女神はどちらに微笑む?”