女装男子の憂鬱
とある平日の放課後。



誰もいなくなった教室で
俺とハギ、井藤、浩二の四人は談笑していた。




井藤「ハセは来週試合かぁ。次は勝つといいな」


浩二「けどよぉ 試合っつっても練習試合だろ?しかも前回負けた相手と」


ハギ「でもハセ、めちゃくちゃ燃えてたよ。次は絶対勝つって」






ハセは来週 決勝で惜しくも破れた相手との練習試合が待ち構えている。
最近はずっと練習の毎日だ。

俺達四人は試合があれば必ず応援に行く。
仲がいいだろ?

でも俺は、爽やかな汗を流し、軽やかなステップでサッカーボールを追いかけるハセを見たいのが本望だ。


二年でサッカー部主将で、いかにもスポーツ系。

男子という外見で 部員を従える頼もしい真面目な性格のハセは 当然女子に人気だ。

今も 窓からグラウンドを覗けば、ネット越しに女の山…山…山…………














圭太「………吐き気がする。」
















井藤「………圭太? 何してんだ 険しい顔で外なんか見たりして」





圭太「あっ いや、別に何でもない…」




女はずるい。
かっこいい奴を見ていたって
同性とくっついてお喋りしたって
プリクラなんかで「ラブラブ♡」なんて書いちゃっても 可愛いの一言で片付ける。

男と男がやれば 変な目で見られ
バカにされ


この先永遠に男女差別は解決しないだろう。
俺だって ネット越しにハセの汗を見たかったよ。









< 5 / 18 >

この作品をシェア

pagetop