時にはケダモノくんなのです
「…うるせーよ…。」
小さい声でそう言ってパンを1口頬張った。
「なんだよ奏。
お前その様子見てると萩野さん大好きじゃん」
健人がそんなこと言うから手からパンを落としてしまった。
「は…はぁ!?
別にそんなんじゃねーし!!」
慌てて落ちたパンを拾う。
俺が萩野のことが大好き?
何を見てそんなこと言ってんだこいつ…
「急に萩野さんが男といなくなったからイラついてるし、焦ってるような顔してるけど」
その言葉に内心ギクッとした。
確かにそれはそうだけど…
「追いかけてくればいいじゃん」
健人がフッと軽く笑いながら俺に言う。
追いかける?
「…そんなの邪魔になるだけだろ……」
「彼氏なのか気になんないの?
もし彼氏じゃなかったら取られちゃうかもよ」