時にはケダモノくんなのです
いつもと雰囲気の違う萩野を目の前にしてギュッと苦しくなる。
こんな萩野初めて見た…。
いつも制服姿しか見たことなかったからな…。
ボーッと萩野を見つめていると…
「遼佳先輩待たせちゃってすいません」
聞き覚えのある声が聞こえる。
顔を見なくたって分かるっていうか健人が植上って言ってたしな…
「あれ!
五十鈴君じゃないですか!
こんにちは!」
植上はなにも気にしていない様子で俺に挨拶をする。
軽く笑って見せたけど絶対ぎこちない。
なんとなくこの場から早く離れたい。
入る隙もないのに…
「………楽しめよ、萩野」
振り絞って出した言葉は自分の思っていることとは反対の言葉。
萩野が俺を呼ぶ声が聞こえたけど俺は振り返らずにその場から立ち去った。