時にはケダモノくんなのです
好きなんです








「………楽しめよ、萩野」







会うことを避けていた五十鈴君にバッタリ遭遇してしまった。







植上君がトイレに行っていて、様子を見ようと運悪く通路の角で五十鈴君とぶつかった。









植上君が戻ってきて怒られると思ったし、また私の腕を引っ張って連れていかれるのかもなんて思った。








でも五十鈴君の表情はただただ私の顔を悲しそうな顔で見るだけで…











「…五十鈴君っ……!!」










私の呼ぶ声にも振り返ってくれなかった。









もう怒る気にもならなくなったってこと…?








怒ってほしい訳じゃないし、連れ去って欲しい訳でもない…









ただ私は五十鈴君が好きで誤解されたくないだけ…








今日植上君と一緒なのは遼のイタズラだったって…








「ご…ごめん植上君…



私…追いかけなきゃ…」









咄嗟にそんな言葉が出ていた。







でもそんな私の腕を植上君は掴む。








「…行かないで…。



せっかく今日遼佳先輩と二人きりなのに…」










ギュッと握る力が強まる植上君の手。














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