時にはケダモノくんなのです
外に出てみても五十鈴君の姿は見当たらない。
そんなに五十鈴君歩くの早かったっけ…?
急いでいた足を緩める。
「…五十鈴君……もう帰っちゃったの?」
普段運動をしない体力不足の私には全速力で走り回る力がもう残っていない。
トボトボとゆっくり歩きながら周りを見渡す。
やっぱりここら辺にはいないのかな…
ハァッ…と溜息をついた時、少し離れた所にあるベンチに座る人影。
もしかして五十鈴君…?
離れていてもなんとなく見える服の色合い、シルエットが五十鈴君にそっくりで…
力を振り絞ってそのベンチまで私はまた走り出した。
だんだん近づく距離にハッキリと見える顔。
「五十鈴君!!」