君がいる毎日
「あの雑誌は……ウエディング関係のヘアスタイルが載ってたから、それで買ったんであって……プ、プロポーズ特集とか、そういうの見るために買ったんじゃないから」

しばらくすると、小さな声で唯月が言った。

「ああ、そうなの?」

雑誌のことなんて、もうどうでもいいのに。
どうしてこんなにこだわるんだろう。
どうしてこんなに真っ赤なんだろう。
変な唯月。

「でもまぁ、ふうちゃんなら……どんな、プ、プロポーズされたら嬉しいのかな、なんて」

頬に当たる唯月の耳たぶの温度がまた一度上がった気がした。
プロポーズねぇ……。
私は少し考える。
今まで考えたこともなかった。

だって。

「唯月がしてくれるんでしょ?それならどんなのでもいいよ」

どこだろうと、どんな言葉だろうと。

たとえば、夜景が見える高層ビルのバーでとか、抱えきれないほどのバラの花束を差し出されてだとか、そんなんじゃなくていい。

そう、こんな風に二人で部屋にいるときに、言ってくれればいい。

かっこいい言葉じゃなくていい。

唯月が言ってくれるのなら。
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