君がいる毎日
四回目のキスをしていた時に、唯月の体がピクリと動いた。
慌てて離れようとしたら、それまで寝ていたとは思えないくらいの素早さでぎゅっと抱き締められた。
まるで罠にかかった野生のウサギみたい。

「ひゃっ!」

唯月の顔を見上げると、唯月はにやにやと笑っている。
恥ずかしい……。

「いつから……起きていたの?」

恐る恐る聞くと、唯月はごろんと仰向けになって、私に腕枕をしてくれながら、「たった今だけど?」と答える。

「本当?」

「うん、本当」

「本当に本当?」

「うん、本当に本当」

それなら、何回もキスしたことは気づいてないはずだ。
一度はばれてしまったけど、仕方がない。

「ゆづ、起きよ。もう九時過ぎてるんだよ!」

照れ臭さを隠すようにきっぱり言うと、唯月はこらえきれない様子でプッと吹き出した。

「ふうちゃーん。かわいいなぁ、もう」

唯月が私の頭をぐちゃぐちゃとなでる。

「やめてよ。私、先に起きるよ!」

なんだかやっぱりバレていたみたいな気がして、恥ずかしい。
唯月の腕の中からするりと抜け出しベッドに起き上がると、唯月が笑いながら両腕を大きく広げた。

「ごめんごめん。ふうちゃん、おいで」

だめだよ、今日は予定があるんだから。

そんな言葉は、唯月の優しい眼差しと温かい胸の中の誘惑にあっという間に負けてしまう。

私は広げられた腕の中に素直に戻った。
今度はまるで巣穴にもどる野生のウサギみたいに。






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