君がいる毎日
唯月が私のおでこにキスをする。
それから鼻の頭、ほっぺた、こめかみ、耳たぶ、首筋、鎖骨、もちろん唇にも。

ひとしきりキスの雨を降らせたあと、唯月はもう一度、ぎゅうっと私を胸に抱いた。
唯月の裸の胸に耳をあてて、唯月の心臓が休むことなく仕事をしている音を聞くと私はたまらなく安心する。
それから、犬みたいにすんすんと唯月の香りを吸い込んだ。
世界中、どこを探しても見つからない、唯月の香り。

「起きなくちゃね」

私は言う。

「そうだな」

唯月が答える。

「一日が終わっちゃうね」

冗談でも例えでもなんでもない。
実際に二人でこうしてお休みの日にベッドで過ごした日がある。

「ふうちゃん」

「なぁに?」

「大好き」

「……知ってる」

ひでぇ、と言って唯月は笑う。
揺れる胸板に頬を寄せて、 私は目を閉じた。

知ってるよ。
ちゃんと伝わってる。
口に出さなくても分かるくらい。

私は唯月みたいに、ちゃんと口に出して言えないけれど。
伝わってるといいな。
大好きだって。
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