猫柳の咲く季節に


同じシールなのに、柏木くんのシールだけ目立って見えるのはなぜだろう。


不思議。


「私も、貼ってくるね」


そう言い残して、隣のついたての向こうに行こうとしたら、くんっと、右腕を引かれ、少しよろめく。


「…っわ!」


強く握られた私の右腕は、柏木くんの手に包まれていた。


「柏木くん……?」


「待って」


柏木くんは手をゆっくりと離す。


それと同時に、人差し指から1枚の小さなシールが柏木くんの手に渡る。


柏木くんは、あの模造紙にそれを貼った。


あの、1番見覚えのあるやつに…



< 104 / 514 >

この作品をシェア

pagetop