猫柳の咲く季節に


そのまま教室を出て、適当に歩いた。


柏木くんは、ずっと私に話しかけてくれていたけど、私はその間、上の空。


さっきの言葉が、表情が、私の脳内をループしていく。


シールを貼ったときの、無邪気な笑顔。


秘密って言ってくれたときの、あの大人っぽい仕草。


全部、私の胸の奥で大きく弾けていく。


だってほら、柏木くんに掴まれた右腕があつい。


私はその熱を感じるように、左手で押さえる。


それは全身に行き渡り、身体中があつく火照る。



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