猫柳の咲く季節に
第4話
涙をこらえて
プルルルル……
8月の半ばのこと。
蒸せるような暑さと、庭のセミの鳴き声にうんざりしながら、溜まりまくった課題をやっていたそのとき、ケータイが音を立てた。
メールとかだったらあとででいいや。
そう思ってペンをまた走らせる。
プルルルル……
一向に音が鳴り止まない。
まさか、電話?
メールと音を変えていないから気付きにくい。
そろそろ変えようかな。
なんて考えながら、ケータイを手に取る。