猫柳の咲く季節に
奥へと入り、古ぼけたベンチの後ろの草むらから小さめな犬小屋を取り出す。
「柏木くん、どうしてネコなのに犬小屋使っているんですか?」
「いい大きさのネコ小屋がなくてさ、あのときはほんと困ったよ」
私は2人の会話を出来るだけ聞かないようにして、小屋からネコを出した。
その話が私たち2人の秘密だと、勝手に思っていた自分が恥ずかしい。
「シオ、ツキ…出番だよ」
にゃー。
いつもは静かなシオも、今日は珍しくのびのびと鳴いた。