猫柳の咲く季節に


奥へと入り、古ぼけたベンチの後ろの草むらから小さめな犬小屋を取り出す。


「柏木くん、どうしてネコなのに犬小屋使っているんですか?」


「いい大きさのネコ小屋がなくてさ、あのときはほんと困ったよ」


私は2人の会話を出来るだけ聞かないようにして、小屋からネコを出した。


その話が私たち2人の秘密だと、勝手に思っていた自分が恥ずかしい。


「シオ、ツキ…出番だよ」


にゃー。


いつもは静かなシオも、今日は珍しくのびのびと鳴いた。

< 121 / 514 >

この作品をシェア

pagetop