猫柳の咲く季節に


私はかばんから財布を取り出そうとする。


だけど、その手をぎゅっと掴まれてしまった。


「……えっ!?」


「ちょっと待って!話は終わってないよ」


どういうこと…?


入谷くんは手を離す。


「そのお金で、あのときのお礼させてよ」


「お礼…?」


「そう!文化祭で付き合ってくれたお礼」


そんな…気を使わなくていいのに。


「いいよ、お礼なんて……」


「遠慮してんの?」


怒ったような、拗ねたような…


唇を尖らせて、むすっとしている。

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