猫柳の咲く季節に


「先生、お久しぶりです。1年の永瀬です」


髪を1つに結んでいる、暖かいお母さんのような先生。


この先生を見ていると、なんで保健室がサボりスポットとなっているかが分かる。


きっと、この暖かさに安心するんだ。


だから、私も希美ちゃんをここへ連れてきた。


考えは、みんなと同じ。


「あら、今日はお友だちも一緒なのね。さては、なにかあったのかしら?」


ふふふ、と笑って、そう問う。


だけど、それ以上のことは無理に聞こうとしなかった。


それが、先生の優しさなんだろう。


だから私も、笑って、その質問を濁した。

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