猫柳の咲く季節に


「じゃ、俺は保健室にこれ持ってくから」


そう言って、また駆け出す。


なんなの…


永瀬さんのためにそんなに一生懸命になっちゃって。


ばかみたいじゃん。


でも……


でも、私は、拓海の背中をただただ見つめることしか出来ない。


何もしてない。


好きになってもらいたい気持ちはあるのに、嫌われたらどうしようって逃げてばかり。


私だって本当は、拓海のようにばかみたいに好きな人を追いかけたい。


だけど、好きな人に好きな人がいるって分かっていて、アタックしていけるほど、私はそんなに強くない。


あのころのように弱いまんまなんだ…


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