猫柳の咲く季節に


ついた先は、屋上。


ここなら、開放感に任せて、全てを話せる気がしていた。


「……で、話したいことってなに?」


いつものような話し声で、そう聞いた。


「…昨日のこと、謝りたくて」


「昨日のこと?」


一瞬、何のことか分からなくなって、首を傾げる。


「ほら、私が冗談に対してムキになっちゃったから…」


「あー、あれね」


私は、空をぼんやりと見ながらそう言った。


ゆっくりと、沈黙が流れる。

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