猫柳の咲く季節に


たとえ、拓海が永瀬さんを好きでも、私はやっぱり、諦められない。


拓海が好きだから。


でも、ひとつだけ、永瀬さんに教えてもいいかな。


「なんで、昨日拓海が保健室に荷物届けに行ったか知ってる?」


「そんなの、希美ちゃんが私に会いたくないからじゃ……」


「ふうん、そんな風に言ったんだ、拓海」


まあ、合ってなくはないけど。


「どういうこと?」


「本当は、私に何も言わないで勝手に永瀬さんの荷物準備して、勝手に行っちゃったんだから」


『見てれば分かる。雰囲気が違うから』


あれは、紛れもなく永瀬さんへの言葉。


だから、遠回しだけど教えてあげる。


永瀬さんを好きな人がいることを…

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